令和3年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作 優秀作品展に行って来た

博物館と美術館

さっそく行って来ました。武蔵野美術大学。もはや自分の出た大学を除くとダントツに訪れております。そのうちに不熱心な学生を追い越すのではなかろうか・・・。

ちなみに今年は学部と大学院で日程が分かれております。

学部4/4 – 5/3 、大学院5/23 – 6/12

今回のポイントは、1月の卒業・修了制作展で観たどの作品が選ばれているのか。なにしろ3日間13時間も観ましたから大体の作品は観ています。そして、じぶんのイチオシ作品たちが選ばれているか。それらを優秀作品展という空間で改めて観たらどう見えるのか。

初見の作品がいっぱいあった

なにしろ卒業・修了制作展は3日間、計13時間かけて観て回りましたから、時間のかかる映像作品を除くと90%の作品を観たはずです。いったいどのような作品が選ばれているのか。

そう思っていたのですが、なんと初見の作品がいっぱいありました。半分は初見です。観たけど覚えていないというのもあるのでしょうけど、なんと奥の深い卒制展。

じぶんのイチオシは何ひとつ選ばれていなかった

そして、卒制展で目を付けていたイチオシ作品たちが何一つ選ばれていないというまさかの事態。
雰囲気と感性でのみ選んでいるので、技術的な評価ポイントは全く分からない訳ですが、とはいえいったいどういうことなのか。素人には分からない難易度や新規性の要素があるであろうデザイン系、工芸系はまだしもファインアート系もまったくかすらない。

推しが選ばれなかったという悲しさもありますが、あの作品をもう一度観られると楽しみにしていただけに残念さ加減もひとしおでありました。

卒業・修了制作展と優秀作品展はまるで違う場所

これはですね。そうなんです。時空間レベルで全く違います。

美術館の壁に掛けられた作品と、午後の日差しが差し込むアトリエに掛けられた作品とでは、全く違う雰囲気を纏っています。また、選ばれた優秀作品が整然と並んでいるのと、玉石混交でカオスの中に置かれているのもやはりまったく違う輝きを持っているのです。

ダウンタウンの倉庫の壁の落書きと、その壁を美術館に移築したものの違い。

本物であったとしても、明治村や江戸東京たてもの園に移築された建物という感覚。

空間そのものが作品というタイプの物を除くと、基本的にはどちらも実物が展示されているにもかかわらず、卒制展が世界だとしたら、優秀作品展はそれを写真に切り取ったレプリカの様に感じてしまうのでした。

今回のイチオシたち

さて、卒制展のイチオシは出ていなかったとはいえ、優秀作品展の中にもググっと来たものがありました。

『ピリオド』

『ピリオド』という作品です。
この絵は覚えていました。
今回じっくり眺めて気が付いたのですが、この絵のお店は新秋津駅近くの『グルマンやま』という洋食屋さんの様なのです。
これはもう、ちょっと行ってみない訳にはいかなくなりました。

『#_』

5分40秒の手書きのアニメーションです。これは初見でした。

うまく世の中になじめていない的な少女の内面世界を描いているのですが、スマホの検索窓に「さみしい」と打ち込むド直球。夜にぬいぐるみが動き出すという童話の様な世界観。その辺りはちょっと苦手なトーンではあるのですが、この作品が凄かったのは何とも色が綺麗だったこと。とにかく色合いが素晴らしい。なんて美しい色使いなんだろうと、感動してしまいました。

『痼 empathy』

6分30秒の手書きのアニメーションです。これも初見でした。

右乳房にしこりを発見して、診断を受けて、手術するまでの不安を描いた作品です。
良性だけど悪性の可能性もあるという不安が大きくなって、ググって、妄想が拡がってという内面が良く描かれていましたし、それを客観的に描いているところが新鮮に感じました。そう、そこがとりわけ良かった。

後半、線や図形がぐにょぐにょ動くシュールな映像が結構あって、もともとそういうのは好きではなかったのですが、この作品については痼や不安がよく表されていて嫌いにならずに観ることが出来ました。

他にもいい感じな作品群

という事で、観に行かないと損するレベルですのでぜひおすすめします。

寄り道

今回はですね、前からちょっと気になっていたお店に寄ってみました。

4時間くらい観るかもしれないと思っていたのですが、2時間半で観終わってしまったので、お店が開くまでかなり相当プラプラ散策しました。このあたり、玉川上水は良いのですが、町割りが割と直線的でぷらぷらするのは少しいまいちです。

という事で、たかの台本通りの端っこの「GARDEN Y’s DINING」というイタリア的洋食屋に入りまして、生ビールでのどの渇きを癒し、ワインやらハイボールやらを頂きましていい感じに少し酔って鷹の台を後にしたのでありました。

こちらのお店は食べ物もおいしくて、なにより雰囲気がとても良かったです。近所に欲しい。

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