11年ぶりの富士川ダウンリバー

2025.10.06(Mon)
清水端:-1.26

www.kaifugun-yamakawacho.net/

2025 21th 富士川 塩の華 → 塩之沢(19.4km)
晴れのち曇り(切石 max 30.1℃) 水位:清水端:-1.26


11年ぶりの富士川ダウンリバー


馬車馬のように漕いで漕いで漕いで

今シーズン21回目の川下りは、富士川です。

富士川を漕ぐのは11年ぶり3回目。

前日のベリーショート会グルーブラインのやり取りはだいたい以下の様な感じでした。

まずはワタシから、「相当水位が低い。修行になるかも。日本三大急流のパワーウォーターは期待できない。」等々、ネガティブ情報に加えて、「天気は良さそう、風もなさそう、渋滞もなさそう」と、情報発信。

果たして、どんな反応が返るか?(以下、原文ママ)

O氏:「だめもとで、富士川に挑戦もありかと思います。景色見ながらゆったりと下るのもいいかも。」

(いやいや、ゆったり下るなんてそんな暢気な状況にはならないかも)

ワタシ :「馬車馬の様に漕いで漕いで漕いで漕いで漕いで貰いますよ。」

O氏:「ワークライフバランスを私は捨てます!」

Oさんめっちゃ強気です。

残念ながらKさんが行けなくなったので、Oさんと二人の川下りとなりました。

清水端-1.26

今回漕ぐのは、有名な釜口の瀬のある区間よりだいぶ上流。身延側の区間です。

11年前に一度漕いだことがあるのですが、その時は「清水端」の水位計が-1.11。

当時も結構浅く感じました。たぶん歩きはしなかったけど底を擦ったりはした様な。

前日時点の水位は-1.26。11年前より更に15cmも低い。

11年間の間に調布橋の様に水位計の基準が変わっていることも考えられますが、不安はぬぐえません。

少し古い情報になりますが、この区間を何度も下っておられる「オートスクロールパノラマギャラリー」さんのレポートを見ると、-1.32が最低ですが、鰍沢口スタートだと一番浅いのが-1.14。それ以下だとコースを短縮されている様です。

なにか分かるかなと、水水DBから水位データを取ってみましたが、調布橋の様な分かりやすい変化はありません。

変化の少ない1月のデータを見てみると、ここ3年程水位が下がっているようで、ちょっと期待しつつ、流量のデータ(~2023)を並べてみたら、割と相関している様なので期待できそうにありません。

清水端の1月の水位の推移。~2025

清水端の1月の水位・流量の推移。~2023



歩いても 歩いても


6:41出発。中央道を甲府南ICで降りて下道で鰍沢口方面に向かいます。

一応、スタート地点の駐車場所については事前に情報収集してありました。
当初のスタート候補地点は鰍沢口駅近辺もしくは駅から1.5kmほど上流対岸の『道の駅富士川』。

道の駅から塩之沢まで漕ぐと約24km。さらに富士川支流の「長沢川」も漕ぐことになって、ちょっとキセルですが新しい川を一つゲットできます。

しかし、水位的にそれは可能なのか?

11年前は鰍沢口からスタートして、22kmを正味で3時間30分かかって漕いでいます。

川沿いに車を走らせつつ、橋があるたびに対岸へ渡っては直ぐUターンして川の状態を確認します。

うーん、ところどころ中々浅そうです。

かなり歩くことになるかも。漕いで漕いで漕いでではなく、歩いて歩いて歩いてになるやも知れません。


待ち合わせは塩之沢駅に9時半。5分ほど遅刻しました。Oさんは既に到着。

上流に向かう車内で、スタート地点の短縮について検討します。

程よい距離で、適当な駐車スペースがあれば、短縮もありという方向にまとまります。

甲南スポーツ広場あたりが目に留まったのですが、それだとちょっと短すぎ。

さらに上流へ走りますが、中々適当な場所が見つかりません。

かなり走って、もうそろそろ道の駅富士川まで行っても大差ないのではと思い始めたころ、「富士川町歴史文化館 塩の華」という施設に広い駐車スペースがあるのをgooglemapで見つけます。

現地についてみると、広い駐車場があってガラガラなのを肉眼で確認。

止めさせてもらっていいのだろうか?どう考えても実害はなさそうだけど。ちょっと「富士川町歴史文化館」に行って交渉してみようという事に。

ところが、施設の入り口に、本日休館の札が。月曜休館の様です。どうりでガラガラな訳です。

富士川町歴史文化館 塩の華




ダウンリバーレポート

スタートは11:08。

天気は晴れて温かいというか少し暑いくらい。

空の青が濃い。

そして浅い。

スタート地点

スタート地点から下流方向(遠くに鹿島橋)

スタート地点


加えて、水が綺麗でない。長瀞より遥かに綺麗でない。

イメージですが、多摩川だと、日野用水堰より下流な感じ。

少し匂いもあり、泡も目立ちます。

いつもなら、暑くなると川の水をすくって手足や体に掛けるのですが、ちょっとそれをしようという気になりません。

とはいえ景色は雄大。大河の様相です。

こういうところで育っていたら、大らかで心の広い人間になっていただろうか?

しかし、漕ぎ出して10分もしない内に、船底がつっかえます。

30メートルくらいライニングダウン。

先が思いやられます。

早くもライニングダウン(前方に鹿島橋)


11:23鹿島橋通過。(ここまで、1.3km/15分)

風景的には、ほんのり四万十川っぽい感じ。

その後は歩くことなく順調に進みます。

川幅が広いからか、遠くからは大したことないウェーブに見えても、突入するとそれなりに波打ってたりします。

水位が高ければ面白そう。

前方に鹿島橋

前方に鹿島橋

鹿島橋

鹿島橋

鹿島橋の先

鹿島橋を振り返る

11:47頃、月見橋通過。(ここまで4km/40分)

ちなみにgooglemapだと、なぜか「月光橋」になってます。

景色が雄大で気持ちいい。空の青が濃いのも空間的な広がりを感じさせます。

でも水は決してキレイではありません。

今回気づいたのですが、猛暑日の川下りが快適なのは、暑いと感じたら水を掛けることで身体が冷やされるからなんですね。

水を掛けられないとなんか熱がこもる感じです。

水はキレイではない

洞門

洞門の傍を漕ぐ

遠くに月見橋

月見橋の先

11:49 峡南橋通過。(ここまで5.6km/51分)

結構順調です。

遠くに峡南橋

峡南橋

手打沢合流部の護岸

手打沢合流部の護岸

遠くにうっすら富士川橋

手打沢合流部


12:22 富士川橋通過。(ここまで8.2km/74分)

依然として順調です。

どこだったか全然覚えていないのですが、2度目のライニングダウンは10m程。

それにしても、釣師をみません。というか人の姿を見かけません。

富士川橋(左岸側)

富士川橋(右岸側)

遠くに中富橋




シエスタと午後の部

12:28 中富橋の手前で左岸に上陸してランチ。(ここまで9km/80分くらい)

いつものようにお湯を沸かしてコーヒーを淹れますが、Oさんは余儀なき事情でお粥。

ちょっと気が引けるけどおにぎりがとても美味しい。

先が読めないのでランチは短めにするつもりだったのに、すっかり忘れて54分のランチタイム。

中富橋手前でランチ

中富橋手前でランチ

温かいけど、体を動かさず、日が翳ると少し涼しい。

ラッシュガード着るか迷ったけど様子見で、13:22 午後の部スタート。

直ぐに中富橋。

中富橋手前(左岸側)

中富橋手前(右岸側)


その次は飯富橋。(13:43。ここまで、11.5km/101分 ※ランチ除く)

飯富橋の前後は岩がごつごつしています。

それにしても、橋の名前に「富」が付きすぎ!

飯富橋

飯富橋

飯富橋

飯富橋

飯富橋(下流から)

飯富病院付近

飯富橋の少し下流右岸


屏風岩

そしていよいよメインイベントの屏風岩へ。

屏風岩へ

屏風岩

まあ、清水端-1.26ですから、あまり期待は出来ません。

ところが蓋を開けてみると中々面白かった。

距離は短いけど、瀬の落差と波の高さとがいい感じ。

水位が高ければもっと楽しいだろうなと思う一方、更に水位が低いと隠れ岩ごつごつ状態でおっかなそう。

屏風岩は確か3段ある筈。

2段目は大したことなかった。

3段目は川の真ん中に大きい隠れ岩(?というか隠れてないけど水が岩の上を乗り越えているやつ)があってOさんあわや沈と思われたけどセーフ。( もしかしたら3段目ではなく別の場所かも。 )

まあ1段目が面白かったですね。時間があればお替りしたい。

屏風岩(1段目)

屏風岩(1段目)下から

屏風岩(1段目)下から

屏風岩

屏風岩(1段目)下から

屏風岩(?段目)

屏風岩(?段目)


早川合流・沈

屏風岩を過ぎると。右から早川が合流します。

これがなかなか立派な流れでして、支流の分際で力強い流れをぶち込んできます。

こんな力強い合流は初めてかも。でもまあ、どうという事はないでしょう。

舐めてかかって、直前で見つけた鉄筋を撮ったりしておりました。

富山橋と早川合流

早川合流、鉄筋?

早川合流

合流部を前にして考えます。

支流の上流側に艇首を向けて、フェリーみたく通過しようかなとも思ったんですが、それだと完璧でしょうけど、まあそこまでしなくてもいいかという事で、そのまま突入したのですが、どんどん左岸側に流されて、えっ?!流れ速っ、力強っ!て思った直後にフリップ。

横向きで流れの来る方にパドルを挿しても効果なし。

なんともっとも沈したくない水質の川で沈するとは。

しかも、どうという事はないと思っていたので、ビデオも回さず。

そのくせ、漂流中はビデオから切り出せばいいだろうと写真も撮らず。

沈直後に岩にぶつかりそうになるのをいなした後は、流されながら再乗艇チャレンジ。

再乗艇の何が怖いって、足をバタバタさせたときに、水中の見えない岩にぶつけたらどうしようという恐怖ですよね。

頑張ってバタバタさせるんですが、ちょっと全力出すのがおっかない。

さらに、ライフジャケットをルーズに締めているので、ライフジャケットが持ち上がって、体を浮かせてくれません。

あっ、そういえばスタート前に朝礼と安全コールやってなかった。。。

久しぶりとか初めての川でこそやるべきなのに。

さらに、スタート前に富士川の神様によろしくお願いしますとご挨拶するのを忘れていたことに今更気づきます。

そのくせ水がキレイでないとか文句言ってバカにしたので、バチが当たったと考えてまず間違いないでしょう。

暫く流されつつ再乗艇を2、3度トライして無事、足をぶつけることなく成功しました。

心の中で、富士川の神様にご挨拶が遅れたお詫びと、残り区間の無事をお願いします。

しかし、不幸中の幸いだったのは早川の水が豊富で富士川より綺麗だったこと。

以後、水質が少し良くなって水量も豊富になります。

沈・謎写真

沈・漂流中(Photo by Oさん)

沈・漂流中(Photo by Oさん)

再乗艇(Photo by Oさん)

再乗艇(Photo by Oさん)

早川合流を振り返る




運命の分かれ道

14:11 富山橋通過。(ここまで、14.5km/129分 ※ランチ除く)

またしても「富」がついてる。「富」付きすぎ問題!

結局ここまでのライニングダウンは2回のみ。計40メートル程度。思ったより順調だったのですが、この後、運命の分かれ道に直面することになります。

富山橋

富山橋の先。ゴールまであと5kmほど

富山橋(下流から)

富山橋の先


やがて、流れが二つに分かれている場所が現れました。

緩やかに真っ直ぐ進む流れと、左岸寄りに逸れる狭い流れ。

左へ行く流れは少し落差があって瀬音が響いています。

一方、右コースは、先がどうなっているかは分かりませんが、暫くして行き止まりになっている様な雰囲気を醸し出しています。

我々は迷うことなく左のルートを選択肢しました。

そこでいきなりライニングダウン。

左ルートへ

瀬なのですがちょっと浅すぎで下れない。

なんとかその瀬を越えたと思ったら、なんか、さっきまで豊富だった水はどこへ行ったの?状態。

底を擦りつつ、サイドチューブに体重を掛けて、喫水を上げますが、何回かライニングダウンを強いられます。

たぶんサイドチューブに体重を掛けてるOさん

我々は間違ったのか? 右に行けばよかったのか?

そしてしばらく漕いだ後、右から悠々たる流れが合流して来たのでした。

ただあの時、右に行けばヨカッタのかどうかは分かりません。次は迷わず右に行くけど。

合流箇所を振り返る。我々は右から

その後も結構漕ぎました。

遠くに見える山を指して、「たぶんあの山の向こうがゴールですね。」

この会話を何度繰り返したことか。

晴れていた空も雲が覆い始めて夕方感が出て来ます。

いよいよ修行感も出て来てなお漕いだ後、ようやく水の流れが止まりました。

塩之沢堰のバックウォーターです。そして遠くにセメント工場が。

「セメント工場だ!セメント工場が見えて来たぞ!」

ゴール間近

セメント工場

長かった旅もいよいよゴール間近となりました。

セメント工場の先に、塩之沢堰が見えてきます。

なにもかもみな懐かしい。

塩之沢堰とゴール付近

ゴール手前から振り返る

塩之沢堰

塩之沢堰とゴール付近

15:01 塩之沢堰の手前左岸にゴール。

3時間53分、ランチを除くと2時間59分、19.4kmのダウンリバーとなりました。平均速度6.5km/h。結構頑張りました。

11年前は22kmを3時間半(Ave.6.3km/h)。感覚的に前回より水位が低いことは間違いないですが、今回の方が速い。頑張って漕いだからか???

ゴール

しかし、疲れ果てた我々に、最後の試練が用意されていました。

11年前の記憶を頼りに、富士川に流れ込む椿川の右岸側に上陸したのですが、草がぼうぼうで進めません。せっかく担ぎ上げた艇を下ろして、椿川の左岸側に再上陸。護岸を上って、無事に塩之沢駅前までたどり着いたのでした。

再上陸

15:38 塩之沢出発、塩の華のあたりに戻って解散。

川の神様と富士川の神様にお礼を言って帰路に就きました。

18:23帰宅。

ゴール地点より上流方向




川下りを終えて、メモなど

短縮してヨカッタ、風がなくてヨカッタ

ゴールした後、距離を短縮して本当に良かったと語り合いました。

もし道の駅富士川からスタートしてたら、追加で4.6km。

ちょっと想像したくないというか、1時間くらい到着が遅くなるわけで、たぶん涙目になっていたのではなかろうか。

そしてもう一つ。

風がなくて本当に良かったです。

予報は「追い風1メートル」というのを確認していましたが、予報が外れなくて本当にヨカッタ。

もし、向かい風3メートルとかだったら、涙目どころか、泣いていたと思います。

身延線との並行区間で勇気ある撤退をしたかも知れません。

風の予報確認は必須です。


川相サマリー

今回のダウンリバーで、清水端-1.26でも漕げることが分かりました。

ライニングダウンも恐れていたほどではなかった。

とはいえ、この水位で漕ぐのはちょっときつい。少なくとも鰍沢口から漕がない方がいいでしょう。(ドM異常川人間なら無問題)


川相のサマリーとしては、だいたいはゆったりした流れで、時折ちょっとした瀬がある感じ。この日の水位だと、屏風岩以外は、長瀞のセイゴや二股より緩い瀬でした。

川岸にテトラのある場所が数か所ありましたが、特にヤバそうな雰囲気は感じませんでした。



それと、川下りそのものと関係ないことですが、今回、橋の遠景を撮っていない事に後になって気が付きました。通過時刻記録のために至近撮影はしたのですが、遠景を撮ってない。

次回に向けて、橋の位置と順番、シルエットと名前をインプットしておきたかったんですが。


いずれにしても、水位が-1.0~-1.1くらいの時にもう一度訪れたいと思います。

という事でご一緒頂いたOさん、そして富士川の神様、ありがとうございました。




釣師の状況

19.4km漕いだのに、一人もいませんでした。

さらに、人の姿そのものも全く見ることがありませんでした。





Data


河川 :富士川
コース:塩の華 → 塩之沢 ( 19.4km )
用艇:NRS Bandit1
メンバー:Oさん
天気:晴れのち曇り
釣師:0人
水位:低い(ライニングダウン数回)。早川合流で少し増えた感じ。
 水分水質データベースによると清水端水位は、-1.26。
水質:悪い。泡あり。少し匂いもあり。早川合流で少し改善。
水温:測定忘れ
気温(切石):気象庁によると切石の最高気温:30.1℃。

スタート地点駐車場:富士川町歴史文化館 塩の華のあたり
ゴ ー ル地点駐車場:塩之沢駅のあたり
タクシー:-
電車:-
バス:-

昼食:おにぎりとコーヒー。
服装:上:化繊のTシャツ2枚、下:化繊の短パン。(パドジャケ、ラッシュガード上下携行)

旅程。2025.10.06
6:41 出発( ~甲府南IC、以後下道)
 11:08 (0:00 - 0.0km) スタート・塩の華
 11:23 (0:15 - 1.3km) 鹿島橋
 11:48 (0:40 - 4.0km) 月見橋(※だいたいの時間)
 11:59 (0:51 - 5.6km) 峡南橋
 12:11 (1:03 - 7.0km) 手打沢出合い
 12:22 (1:14 - 8.2km) 富士川橋
 12:28 (1:20 - 9.0km) ランチ地点着
 13:22 (2:14 - 9.0km) ランチ地点発
 13:25 (2:17 - 9.3km) 中富橋
 13:43 (2:35 - 11.5km) 飯富橋
 13:51 (2:43 - 12.7km) 屏風岩
 14:06 (2:58 - 14.1km) 早川出合い
 14:11 (3:03 - 14.5km) 富山橋
 15:01 (3:53 - 19.4km) ゴール・塩之沢
15:38 塩之沢発(塩の華のあたりにて解散)
18:23 帰宅


※距離はキョリ測にて測定しました。時間は写真のタイムスタンプなどから適当に調整。



(2025.10.09 up)

修正履歴:
 

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