2025.05.15(Thu) 銚子川 魚飛橋下流→まいこみ淵(4.6km)
晴れのち時々曇り(尾鷲 max 24.0℃) 水位:便ノ山 0.27~0.28
見えないものが見える川 銚子川を漕ぐ
Day.0
プランとリサーチ
数年前にNHKスペシャルを観てから、一度は行かねばとずっと思っていました。
調べてみると、放送以降大人気スポットと化していて、夏場の休日とかは凄いらしい。
あと、漕ぐ距離も割と短い。googlemapで標準コース(?)の魚飛橋~まいこみ淵の陸上経路を調べるとおよそ5km。
そういう事もありまして、わざわざ行くというより、何かとセットにしようと狙っておりました。
それで今回、ちょっと四国に行く用事があったので帰り道に寄ることにしたのです。
気になっていたのは天気と水位。
出発前日の日曜に見た天気予報は割とネガティブだったのですが、四国滞在中に徐々に改善します。
これは行けそうだなという事で、移動日前日に宿を予約。
一方の水位ですが、日曜に見た「便ノ山」の水位はたしか0.36とかそんな感じ。
これが多めなのか少なめなのかよく分かりません。
ググっても水位の書かれた川下りレポートが見つからない。比較対象がないと、現在水位は分かっても評価できません。
まあ、自分で言うのもなんですが、検索リテラシー低めな上に、自慢ではないですが、検索結果は3ページを超えて見る堪え性がないのです。
そして3日後、紀北町に着いた5/14午後時点の水位は、0.29。あちゃー。
事前偵察
5/15の14時ごろ紀北町に着きます。チェックインの前に、まずは川沿いに車を走らせて偵察します。パッと見ただけで『結構な距離のライニングダウン不可避』確定です。
今回のコース候補は、魚飛橋から「まいこみ淵」まで。帰宅後にMapionのキョリ測で測ったら4.6kmでした。
上流に向かって車を走らせると、魚飛橋の1km程手前に堰堤が現れます。
ネット上の情報では右岸からポーテージできそう。
左岸沿いの道路からのスカウティングでも、問題ないと判断しました。
堰堤(左岸道路から5/14撮影。)
堰堤から上流に1kmほど行くと、魚飛橋があります。
ここで右岸側から又口川が合流します。
今回は、『結構歩くの確定』ですから標準コースで十分。上流を探ろうという気になりません。
ちなみに、又口川を遡ると「魚飛渓」という景勝地があるようなので行ってみました。魚飛渓と言われるエリアまで行くと、ちょっと気分悪くなるくらいエグカッタ。完全に禁制地区!(↓)
さらにつり橋の床が犬が怖がるタイプのやつで、スマホとかめっちゃ落としそう。さらに『熊らしき動物出没情報』のポスターが。。。
今回、ドミネーター(熊撃退スプレー)は持ってきていません。
又口川(魚飛渓つり橋から 5/14)。エグ過ぎ!
魚飛渓つり橋(5/14)。この床は苦手なタイプ。スマホ落としたらヤバイ。あと犬もたぶんこれ苦手。
入川道は、魚飛橋の少し下流に見つけました。
車が入れない様になっていますが人間は通れます。
ただし、7月-9月はガッツリ閉鎖になるような情報を見つけました。
「銚子川魚飛橋手前降り口閉鎖について」(きほくのたび)
次は川沿いの道を下流に向かいます。
チラチラ見ますが結構浅い。
明日はいったいどれくらい歩くことになるのだろうか?
一抹の不安がよぎります。
宿と駅とスーパーと
この日の宿は、『ビジネスホテル新』。ここはよかったです。素泊まり4,800円。
ビジネスホテルとなっていますが、共有部の設備的には民宿という感じ。
おかみさんが一人で切り盛りしているとの事でした。
室内は、広さはビジネスホテルですが、デスクやベッドなどは民宿っぼい感じ。
とはいえ、清潔で快適です。
そして、なによりおかみさんのホスピタリティが素晴らしかった。
まいこみ淵へも歩いて行けます。
宿から相賀の中心街(?)までは歩くと結構あります。
そぞろ歩きしたくなるような感じでもないのでチェックインの前に駅方面のスーパーへ。
夕食の他、翌日の朝・昼食を購入。
まあビールなどは近くで買えるかと思って買わなかったのですが、自販機含め、ホテルの至近距離にはなにも確認できず。再度スーパーへ。
ちなみにホテルの建物にとんかつ屋さんが入っていますがこの日は定休日。
ダウンリバーレポート
スタート地点
朝、予報通り晴れ。前日の偵察で浅いことは分かっていたので、ライニングダウンは覚悟の上ですが日が変わって更に水位が下がっています。
8時の便ノ山水位は、0.27と前日より2cm低下。
今回のコースは4.6km程度なので、仮に3割歩いたとしても1.4kmです。
まあどうにかなるでしょう。
スタートは、魚飛橋の少し下流の左岸。
車両が進入できない様に柵が設置されていますが、ここを通って川原におります。
なんと素晴らしい水の綺麗さ加減。
超絶水の綺麗な川を前にすると、どうしたって顔がにやけてしまいます。周りに誰もいないからいいですが、人に見られたら間違いなく変な人。
試しにゴーグルをつけて水に入ってみます。
スタート地点の水中
水中は超綺麗です。
カメラがポンコツなので写真がパッとしませんが、遠くまで見えます。
水に入って、水平方向に遠くが見えると感動しますよね。
でも、それはそれとして、、、。
超絶冷たい。完全に無理!
水は果てしなく綺麗だけど、冷たすぎ。体感では氷点下。測ってみると12.4℃。
取りあえず携行していたラッシュガードをTシャツの上から重ね着します。なんとなくTシャツを外側にするより保温性がある様な気がします。
持って来てヨカッター。
更に、ネオプレーンの靴下を履きます。これは保温というより、ライニングダウン対策の足裏保護が主な理由です。
しかし、バイカル湖級の冷水にラッシュガードごときが太刀打ちできる筈がありません。
再度、川に入りますが10秒で活動限界に達します。
ウェットを持ってくるべきでした。5月の川の水が冷たいという事は、去年の小川(古座川支流)で思い知ったはずなのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるというか、学習能力ゼロなのが悲しい。
ちなみに、宿を出る時、下はラッシュガードのロングパンツにするか、薄手のネオプレーンにするか迷った末に、ラッシュガードにしたのですがこれも失敗でした。
それでも、水はめちゃめちゃ綺麗です。
海部川、小川とともに、間違いなく人生ベスト3に入ります。
ダウンリバースタート
今回は距離も短いし、少しでも喫水を浅くしたかったので、クッカー類や食料は持たず、500mlの水を2本と、念のためのパドジャケのみ携行。艇の空気もパンパンに入れて少しでも浮力を確保します。
スタートは、8:43。
浅い。少し漕いだら直ぐに艇を降ります。
断続的にライニングダウンをしつつ下って行きます。
スタートして少し進んだところの水中
少し進んで、水の綺麗なところで艇を岸に寄せて、ゴーグルをつけて水に入ってみます。
綺麗すぎ!
感動的に綺麗な川にとって重要なのは、もちろん水の綺麗さですが、2番目に大事なのが直射日光ですよね。
どんなに澄んだ水も、曇り空では感動半減。
綺麗な水に日が差し込むと、そこはもう『やまなし』の世界。
なんかもう、菅野祐悟さんの曲と吉岡里帆さんのナレーションが連続脳内再生されまくり。
ああ、サイコー。(水は激冷たいけど)
堰堤
スタートして1km程漕ぐと、堰堤のバックウォーターになるとともに、丸っぽい岩が点在する区間になります。
そこを過ぎると堰堤です。
事前のリサーチでは右岸からポーテージできそうですが、割と左岸寄りの場所に着いたのでちょっと右岸まで行くのがメンドイ。
もう少し水量があれば乗艇したまますべり台方式で行けるかなとも思うのですが、この日の水量ではダメです。おそるおそる斜面に足を載せてみると、特に滑る気配はありません。
艇を斜面に載せてみてもやはり滑りません。
ということで、そのままそろりそろりと斜面を降りることにしました。
鉄筋が出ていたりする箇所もあるので突入には注意が必要です。
さらに降りた先は下の写真の様になっていて、足を踏み外さないように注意が必要です。
水位に寄りけりですが、右岸ポーテージが無難かもしれません。
そして、その先にもトゲトゲしたテトラ風の構造物があります。中央部の水が流れているところも航行は無理でした。水位によっては漕げたとしてもリスキーです。
水位が高ければ、斜面自体はすべり台方式で降りられるでしょうけど、その先のテトラ的構造物の状態も含めた判断になるでしょうから、事前の確認は必須です。
キャンプinn海山~紀勢道
堰堤通過には約9分かかりました。
堰堤を過ぎると右岸が護岸になっていて、その上が「キャンプinn海山」というキャンプ場です。そして前方には紀勢自動車道の橋梁。
このあたりも水が綺麗でした。
たぶん水はどこも綺麗で、あとは川底の状態と日差しの差なんだと思います。
水は綺麗ですが、時折泡も流れて来ます。小川もそうだったし、まあこれは人の営みがある以上仕方ないですかね。
キャンプ場を過ぎると、紀勢自動車道の橋があってその先には平尾吊橋という吊橋。
この間も断続的にライニングダウンです。
橋を潜ってしばらく行くと(漕ぐ&歩く)、いい感じのところがあって、またまた水に入ります。
水綺麗。
試しに、艇を浮かべてみました。
エイって潜ってみてもいいんですが、ちょっと水が冷たくて、心臓停まったら嫌だし、泳ぐ程度で潜りはしません。ああ、もったいない。
鳥よけのライン、便ノ山橋
ここまで、漕いだり歩いたりの繰り返しなので、それなりに、かなり辛いのですが、新たに想定外の苦難が訪れます。
海から吹く風様です。
歩くのは覚悟していたのでいいのですが、風は想定外でした。
考えたら海が近い。
どこでだったか忘れましたが、風で冷えるので、パドジャケを取り出して被ります。
99%使う事はないだろうと思いつつ、一応念のためカタチとしてドライバッグに入れておいたのですが、まさか使う事になるとは思いませんでした。備えは重要です。
漕いだり歩いたりしつつ更に進むと正面に「便ノ山橋」。
前日の偵察で把握していましたが、橋の少し手前で、川の両岸にたぶん鳥対策のロープが何本も渡してありました。
慎重にロープを潜り、便ノ山橋を潜ります。
その先は、かなり歩きました。
艇を引いて歩くより楽かなと思って、しばらく艇を担いで川原を歩いたりもしました。
まいこみ淵 ゴール
11:03、「まいこみ淵」ゴール。
漕行時間は、2時間20分。
距離は4.6km。
多摩川なら40分くらいの距離でしょうか。
堰堤もあるとはいえ、最大の理由はライニングダウンです。
計った訳ではないので感覚的なものですが、恐らく15%くらいは歩いたのではなかろうか?
少なくとも体力消費の80%はライニングダウン、10%が風、5%が堰堤、5%が普通の漕ぎ、という感じでした。
まいこみ淵
まいこみ淵も綺麗。
ただ、スタートした時は「晴れ」だったのがその後「時々曇り」を経て、ゴールしたころには割と「曇り」っぽい空の様子。
まずは、近くに停めた車に戻ります。
今まで何年も、ずーっと半袖やら長袖やらのウェットを車に積みっぱなしだったのに、全然使わないから、今年の初めに一念発起して車から降ろしてしまいました。痛恨のお片付け。
それでも水中眼鏡とシュノーケルは積んだままでした。というか、これは必要だと思って出発前に確認しました。10年放置でゴムの部分は微妙に薄黄色く変色しています。その他、ケトルやらシングルバーナーやら昼食のパンなども携えて川原に戻ります。
水中メガネを付けて川へ。
河口が近いのに水綺麗すぎ。そして相変わらず冷たい。
さらに、「まいこみ淵」めっちゃ深い。
潜ったら楽しそうだけど、水冷たくて早々に上陸。コーヒーを淹れてランチパックで昼食です。
微妙に涼しくて、コーヒーの次は、オニオンスープを飲みたいくらいには涼しかった。
ゆらゆら帯
まいこみ淵の後は、ゆらゆら帯へ。
川原でググって初めて知ったのですが、「ゆらゆら帯」を見る場所は、まいこみ淵より300~400m下流にあります。
ああいうものは、たぶん潮が満ちてきている時とか、満潮とかに見えるんだろうなと思って調べたら、やはり満潮が見やすいと書いてあります。
潮見表を見るともうすぐ干潮。満潮までは7時間もあります。ガーン。
まあ期待せず行ってみました。
水中眼鏡とシュノーケルを付けて川に入ります。
汽水域で海が近いとは思えない水の綺麗さ。
「ゆらゆら帯」と言えるような上下のレイヤーは全然見られませんでしたが、なんとなく視界の隅にゆらゆらしたものが。。。
ちょっとガムシロップみたいな感じです。たぶんこれが海水なのではなかろうか?
そして水温は14.5℃。少し上がったとはいえ、せいぜい20秒で活動限界です。
水から上がるとほんのり身体もベタつきます。
よし、あれが『ゆらゆら(帯)』だったという事にしよう。
『まいこみ淵』にも入ったし、『ゆらゆら』も見たし、十分満足して、銚子川の神様にお礼を言って、紀北町を後にしたのでありました。
2025.05.26 動画追加
2025.05.26 追記
動画を編集していたら、きちんと「ゆらゆら帯」が映っている事を発見しました。
水が冷たくて集中できなかったのと、干潮直前だからどーせ見えないだろう。と思ってたのもあるかも知れません
ここはひとつ記憶を修正して、見たことにしよう。
注意箇所
便ノ山水位 0.27~0.28。
詳細は本文参照
堰堤
右岸からポーテージできるようです。
今回は左岸近くで斜面をそろそろ通りました。
斜面には鉄筋を見かけました。
斜面の後のテトラっぽい尖った構造帯にも注意が必要です。
鳥よけのロープ(便ノ山橋上流)
パーマネントな設備ではないので、存在するかどうか、存在するとして場所がここかどうかは分かりません。
何本も渡してあるので注意が必要です。
釣師の状況
たぶん0人!!
解禁前とは言え、凄い。
まとめ的な事とその他の事
ずっと行きたかった銚子川に行けて大満足でした。
ただ、もう少し水位が欲しかった。あと10cmあれば全然快適だったと思います。
また、艇がBanditなので多少の浅瀬でも、割とズリズリ行きましたけど、パックラフトだと気を遣ってもっと歩くことになったのではないかと思いました。(持ってないけど)
水質については申し分なし。
海部川、小川(古座川支流)と並ぶ人生ベスト3に入ります。
特に、割と集落が目に入るエリアや海が近い下流域でこれだけの水質なのは本当に感動的です。
ただ水温が低い。ウェットを持って行かなかったのが悔やまれます。
真夏に再訪してみたいけど、鮎の解禁が6月なので悩ましい。
川下りという点で凄く楽しい川相という訳ではないから、カヌーなしで淵に潜るために行ってもいいかも知れません。
綺麗な川に行くと、いい防水デジカメが欲しくなります。ただ、いいの買っても失くすんですよね。
それと、本文に書かなかったのですが、今回、スタート地点へはタクシーで行く積りでした。
ところが大変親切なお声がけを頂き、送って頂きました。
ちなみに相賀にタクシーはいなくて、尾鷲から呼ぶことになります。
Data
■河川 :銚子川
■コース:魚飛橋下流 → まいこみ淵 ( 4.6km )
■用艇:NRS Bandit1
■メンバー:ソロ
■天気:晴れのち時々曇り
■釣師:0人
■水位:低め
川の防災情報によると便ノ山水位は、0.27~0.28。
■水質:めっちゃ綺麗
■水温:12.4℃(魚飛橋下流左岸 8:26)、14.5℃(銚子橋下流右岸 12:32)
■気温(尾鷲):気象庁によると最高気温:24.0℃。
■スタート地点駐車場:-
■ゴ ー ル地点駐車場:まいこみ淵の駐車場(0円)
■タクシー:利用なし
■電車:利用なし
■バス:利用なし
■移動:ご親切な方に送っていただく
■昼食:ランチパック、コーヒー、オニオンスープ。
■服装:ラッシュガードの長ズボン + 化繊の半ズボン、長袖のラッシュガード + 化繊のTシャツ×2。途中で+パドジャケ。
8:02 スタート地点着。
(カッコ内は経過時間)
8:43 (0:00 - 0.0Km) スタート・魚飛橋下流左岸
9:19 (0:36 - 1.1Km) 堰堤着
9:28 (0:45 - 1.1Km) 堰堤離脱
9:41 (0:58 - 1.7Km) 紀勢道橋梁
9:43 (1:00 - 1.8Km) 平尾吊橋
10:23 (1:40 - 3.2Km) 便ノ山橋
11:03 (2:20 - 4.6Km) ゴール・まいこみ淵
※距離はマピオンのキョリ測で測りました。
修正履歴:
2025.05.26 動画追加。
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