2022 7th 海部川ダウンリバー

2022.07.20( Wed ) 海部川 皆ノ瀬の下流 → 神野橋手前 ( 6.6km )
晴れ(海陽 max 30.1℃) 水位:神野 1.09


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  1. どこへ行く?
  2. 海部川へ
  3. ダウンリバー
  4. VIDEOGRAM
  5. 次に下る誰かと自分へ
  6. データ

どこへ行く?


今回は無駄に長いので、適当に飛ばしてい下さい。

どこへ行く?

今年の夏は、法事で帰省するのにくっつけて、海部川か銚子川のどちらかに行こうと考えていました。

場所を決める上でなにより重要なのは太陽ですから、どちらに行くかはギリギリまで決めずに、天気予報次第にすることにします。

川下りの予定日は7月20日。ところがこの週はどちらもずっと雨の予報です。

しょんぼりしつつ、だんだん寄り道しないで帰ることも視野に入って来たのですが、直前になって海部川は晴れのち曇り、銚子川は晴の予報に変わりました。

日頃の行ないはまったくぜんぜん良くないのにも関わらず、本当にありがたいことです。


遅まきながら気合を少し入れてリサーチを始めます。


まずは銚子川。

ここは余りにも有名です。

ゆらゆら帯を見てみたい。そして、まいこみ淵に潜ってみたい。

目を閉じて想像するだけで菅野祐悟さんの曲が再生されます。

それで、銚子川を少し真面目にググってみたのですが、なにやら秘境というより昨今大人気スポットになっているらしいことが分かってきました。



一方の海部川。

「環境省の調査で、全国で最も水がきれいな川36本の1つとの認定を受けている二級河川。」と、そこいらじゅうのサイトに書いてあります。

2011年に子供を連れて川遊びに行ったことがあるのですが、その時の透明度はあまりにも感動的でした。

そして、なにより、ここはかなりな僻地です。

今回は、海部川を再訪することにしました。

しかし、この川は鮎釣りが盛んでシーズン中は漕げないという情報も結構出て来ます。

鮎釣りの人が多くて下れない。というのもありますし、なんかこう、いろんなアクティビティが譲り合うとかではなく、川遊びヒエラルキーの圧倒的頂点に鮎釣り師がいるという雰囲気が何とはなしに醸し出されているのです。

地元の人のウェブサイトにも、「カヌーは自粛しよう」とか、「地元はカヌーを歓迎していない」などという文言が登場し挫けそうになります。

ですので、半分は無理かもしれないと思いつつ、漕げればもちろん漕ぐけれど、漕げなければ川に潜ってどこまでも透明な水中世界を堪能しようと思ったのです。11年前の透明度に再び出会えるなら漕げなくても十分。

とはいうものの、今回は少し期待がありました。

前々日の18日の夜から雨が降って水位が上がって来ているのです。

水位が上がり過ぎれば勿論下れませんが、程よい増水なら釣り師も居ないのではないかと。ほのかに期待が高まります。

海部川へ

海部川へ

19日の夕方、海陽町に到着。

まずは海部川沿いに車を走らせます。

なんかこう、水量もたっぷりな笹濁りで、雨上がりの川霧が立ち込めて方々いい感じです。

並行する193号線から見る海部川


まずは、スタート候補地点の皆ノ瀬橋へ。

なんとも幻想的な雰囲気になっているではないですか。

そして、川は適度に増水してしていい感じです。

国道沿いにあちこち見て回りましたがその間、釣り師はただ一人。

翌日までにどれくらい水嵩が下がるのかにもよるのでしょうが、これは期待が高まります。


川を偵察していた19日の16時時点の神野の水位は1.20。

降水前の17日18時が0.86。

0.86が標準的なものかは分かりませんが、この時点で+34cmです。

また、降雨後のピークが19日8時の1.52なので、既に32cm下がっています。

皆ノ瀬橋より下流方向

皆ノ瀬橋より上流方向

海部橋より下流方向

海部橋より上流方向

コースをどうするか(どこまで下るか)

今回候補として検討したのは、皆ノ瀬橋をスタートして、ゴールは神野橋もしくは若松大橋。

神野橋までなら6.8kmほど。若松大橋まで下るとおよそ10kmの行程です。

ただし、神野橋の直前と、神野橋-若松大橋間には堰堤がありますので、若松大橋まで行くには二つの堰堤を越える必要があります。。

神野橋のすぐ上の堰堤

神野橋直前の堰堤は見たところ何とかなりそうです。

ただし、メインカレントの中央突破は正面にテトラが待ち構えているので超危険です。

避けきれないとお陀仏です。

一方、左岸の魚道をポーテージすれば何とかなりそうに見えます。


続いて、若松大橋にも行ってみます。

橋からは堰堤を見ることは出来ませんでした。

最終的には、明日堰堤を見に行って決めようと、偵察を終えて町に向かったのでした。

若松大橋より上流方向

若松大橋より下流方向

海陽町奥浦の通り

海陽町奥浦の通り

海陽町奥浦の通り

鞆浦漁港

海部川 河口付近

ということで、町まで戻り宿にチェックインした後は鄙びた街並みを散策しまして、ビールを飲んで、アンコウの天ぷら定食を食べたのでした。

鄙びてて、中々いい感じの町でありました。


( 翌日へつづく )

ゴールはどこにする?

翌日、7時過ぎに宿を引き払らい、コンビニで水と食料を調達し上流へ向かいます。( 海陽町にもコンビニはある )

川を見ていると、やはり前日よりはだいぶ水位が下がって濁りも薄まっています。

一応、川に釣り師を10人以上見かけたら今日は中止にしようと線引きをしました。


そしてもう一つ、ゴールをどこにするかです。

若松大橋の上流にある堰堤を見に行きます。

若松大橋上流の堰堤

若松大橋上流の堰堤

若松大橋上流の堰堤

ここは、右岸寄りを通れば問題なくポーテージできそうです。

神野橋直前の堰堤にしても、若松大橋上流の堰堤にしても、ポーテージするのにそれ程体力の消耗もなさそうです。

若松大橋をゴールにしようかと、ほんの少しは考えたのですが、堰堤とは別に、川が浅くなってライニングダウンを強いられそうな箇所があるという事を理由に、神野橋をゴールにすることにしました。

何と言うか、普段なら多少浅い箇所があったとしても、なるべく長い距離をと欲張るのですが、釣竿不安がついつい先に立ちます。神野橋-若松大橋間は絶対逃せない区間という訳ではないだろうと、であるならリスクというか心配の種を減らしておこうという気になったのです。ああ情けない。


引き続き車を上流に走らせます。

皆ノ瀬橋に到着。

昨日よりはだいぶ水量が減っています。

神野の水位は8時で1.10。前日より10cm減っています。

途中、道路から川を偵察する釣り師さんを2名確認。

ビクビクして来ます。

皆ノ瀬橋より上流

皆ノ瀬橋より下流

そして、ゴール予定地点の神野橋へ。

水量は減っていますが、やはり堰堤突破は危険です。

神野橋上流の堰堤

どこに車を停めるか

ゴールが決まって次の問題は、どこに車を停めるかです。

まあ、そもそも人も少なく、車の通りも少ないですから、駐車候補地はいくらでもあるのですが、なんとなく、どこまでが私有地なのかが分かりにくい。

堰堤手前の左岸の川原に車で降りられるのですが、万が一の水位上昇を考えると川原というのは不味い。

川原に降りる坂道の途中やら入口やらに、空き地っぽいところはたくさんあるのですが、微妙に近所の人の私有地だったりしないかなとか、あるいはそうでないにしても近所の方の作業スペースだったりして勝手に停めて迷惑をかけたりしないかとか、微かに気になる風景なのです。

停めていいか聞きたいところですが、そもそも人がいないし。

そういう事もあり、結局国道に設けられた退避スペースの様な所に停めることにしました。

そして、それにはもう一つの大きな理由があったのです。


敵機襲来

前日、ゴール地点の神野橋の川原に立ち寄って偵察していたら、直ぐに一匹のスズメバチの様な昆虫がやって来ました。

大きさ的にオオスズメバチではないから、おそらくキイロスズメバチではないかという感じです。

キイロスズメバチというのは怖いのです。他のスズメバチ類と比較しても攻撃性が非常に高いらしい。

車に戻ると蜂が周りを飛んでいます。慌てて車内に入ったのですが、今度は何匹もやって来てコツコツと車にぶつかってきます。

近くに巣があるのでしょうか?

もし、この辺りに彼らの巣窟があるのであれば、ゴールした後、のんびり艇を畳んだりできる状況ではなくなるかも知れません。


それに、やはり前日、海部橋の袂に車を停めて偵察していた時も、キイロスズメバチっぽいのに追われて、慌てて車に入ったのですが、彼らは複数で車を攻撃してきたのです。

なんと恐ろしいところでしょう?!

なにか私に付け狙われる要素があるのか?!

これは後になって分かったことなのですが、どうやら連中は、キイロスズメバチではなく、アカウシアブだったのではないかと思われます。

じっとしているところを観察できれば分かったのでしょうけど、私の動体視力では、飛んでいる姿から見分けることは出来ません。

しかし、行動特性を知っていれば、判別出来たのではないかと思います。

攻撃された際の回避方法も違いますから、この識別は重要です。


町営バスに乗る

ぜんぜん本題に入りませんが、それで神野橋近くに車を停めて、町営バスを待ちます。

このバスは、路線上であれば自由に乗り降りできるという優れものですが、便数は1日3本なので注意が必要です。

神野8:53→皆ノ瀬9:06という理想的な便がありますが、これを逃すと次は14:03までありません。

また、193号線沿いに走ってはいるものの、時折集落の方に逸れたりするので乗降場所には注意が必要です。

私は神野橋の袂で待っていたら、そこはバスが通らず危うく乗り損ねるところでした。

町営バスの車窓から


バスに乗ります。

運転手さんはたぶん60を過ぎた優しそうなおじさん。

乗客は私一人。

運転手さんに行き先を告げると、私の大荷物を見て「自転車?」と。

情ないことに、「いえ、カヌーです」と言えなかった。orz

適当に濁したのですが、よっぽどビクビクしてるんですね。

「ダメだよ、カヌーは!」などと怒られたらどうしようと思ってしまうのです。

やがて、バスは皆ノ瀬に近づきます。

「カヌーですか?」

今度は運転手さんがズバリ聞いてきました。

まさか今更ダメとは言われないでしょうけど、いろいろお小言を食らうかも知れません。

しかし、観念して「はい」と答えると、

「皆ノ瀬まで行くと川に降りるの大変だよ。」との事。

「結構歩くし、さっきのところから降りれば直ぐだよ。」

なんと、運転手さんは凄く優しくて親切な方だったのです!

運転手さんの提案するところからスタートしても、距離の短縮はせいぜい300mかそれ以下です。

しかも、運転手さんは対向も出来ないような狭い道をバックさせて入川道の入り口まで戻ってくださいました。


海陽町の人ベリーカインド!と嬉しくなったのでありました。

ありがとうございました。


町営バスを見送る

町営バスを降りたところ

釣り場入り口「荒瀬上」



ダウンリバー


さあ、いよいよ、川下りの始まりです。

下の写真を見て下さい。

もう自然と顔がにやけてしまいます。

スタート地点

スタート


しあわせをいっぱいにかみしめて、海部川を下ります。

増水の名残でまだ濁りが残っていて、11年前の透明度とは比べるべくもないですが、それでも御嶽よりはだいぶ澄んでいますし、なにより川底の石ころがサラサラで奇麗なのです。

気持ちよく漕いでいたら、直ぐにいい感じの淵が現れました。

ヨシ、ひとつ潜ってみるか。

続・敵機襲来!

岸に艇をつけて、ヘルメットを外したところでまた奴が現れました。

キイロスズメバチ(だと思っていた)です。

慌てて水中に退避します。

結構流れが速い。

少し流されてやり過ごしたかと顔を上げると、目の前をブンブン飛び回っています。

再度、潜水したのち、潜望鏡深度に浮上すると、今度は頭部に虫が当たるのが分かります。

急速潜航。

その後、もはや一戦交えるしかないと、浮上して水面チョップの全力放水射撃で反撃します。

なんとか追い払ったものの、長居は無用と脱出しました。


キイロスズメバチがこんなどこにでもいるものなのか?!

そこに疑問を持つべきでしたが、その時はキイロスズメバチと信じておりました。


その後、いい気持ちで漕いでいると、腕がちくっとします。

目をやるとそこにはアブが。(普通のアブ)

潰すのもかわいそうだからと、情と共に、水を掛けて追い払いますが、暫くするとまた痛みが。

水を掛けたり、振り払ったり、その都度撃退していたのですが、相手はアブですからしつこいしつこい。

翌日、手足のそこかしこが赤く腫れて痒い痒い。

情はアブの為ならずです。


アブと戦いながら川を下り、程なくして海部橋に到着しました。

11年前に子供と遊んだところです。

でも、増水の名残で透明度は比べるべくもない状態でした。

まあ、そのおかげで、釣り師も居なくて下れている訳ですから、贅沢を言ってはいけません。


その後も、カヌーの上からのぞき込むと淵の底が見えるのですが、艇をつけて潜ってみるとやっぱり視界は良くありません。

上から見て澄んでいても、深さは1メートルとか2メートル。深い淵でも3メートル。

川底が見えたとしても、いざ潜ってみて横方向をみたら、全然遠くは見えません。

海部橋(赤橋)下から上流方向

海部橋(赤橋)下

海部橋(赤橋)

海部橋の淵


海部川の流程は36km。短い川です。

スタートした皆ノ瀬は渓谷ですが、どんどん風景が変わります。

海部橋を過ぎてからは川幅が広くなり、やがて中流域の景色になります。

玉笠橋(下流から)


ランチはゴールの1kmほど手前の川原。

コーヒーを2杯飲んで、おにぎりを食べて。40分ほど寛いで出発。

その後10分程漕いで、ゴール。( 神野橋直前の堰堤の手前左岸に上陸 )

短い距離ではありましたが、素晴らしい水と風景の最高の川下りでありました。


心配していた釣り師さんとの遭遇ですが、結局川で出合ったのは一人だけ。

それも川幅の広いところで、声を掛けつつ竿先の遥か遠くを通過。

先方も会釈で返してくれて、問題なく終わりました。

ゴール。前方に神野橋

神野橋から堰堤

神野橋


ゴールしたのは、12:23。

実は、海陽町には高校時代の友人が暮らしているので、少し顔をだして、25年ぶりの再会を喜びます。

その後は徳島市に移動。

ビールやら何やら飲みまして、翌日埼玉へ戻ったのでありました。


また、いつか海部川を下ってみたい。下らないまでも潜ってみたい。

新町川

両国橋



VIDEOGRAM



次に下る誰かと自分へ

  1. アカウシアブなのかスズメバチなのか落ち着いて確認
  2. アブ対策必須
  3. ソロの場合は町営バスを使うべし
    • 便数注意
    • ルート注意(国道を外れる事がある)
  4. 神野橋上流の堰堤はその先にテトラあり注意
  5. 奥浦の町は鄙びてて素敵

Data

■河川 :海部川
■コース:皆ノ瀬橋下流(釣り場入り口「荒瀬上」) → 神野橋直前の堰堤手前 ( 6.6km )
■用艇:NRS バンディット1
■メンバー:ソロ
■天気:晴れ
■釣師:1人だけ。
■水位:前日前々日の降雨による増水の名残で通常より少し高い。
 川の防災情報には、「神野」「多良」水位計があるものの、水分水質データベースには水位計なし。
 メモ:神野水位計:
  7/18 15:00 [0.85]
  7/19 08:00 [1.52]
  7/20 09:00 [1.09]
  7/20 12:00 [1.08]

□川の防災情報の水位計ページ
 川の防災情報[神野]
 川の防災情報[多良]

■水質:澄んでいましたけど、増水の名残で感動的なレベルではない。
■水温:17℃ ( 皆ノ瀬橋-海部橋間 9:48頃 )
■気温(海陽):気象庁によると最高気温:30.1℃。

■スタート地点駐車場:-
■ゴ ー ル地点駐車場:神野橋付近
■タクシー:-
■電車:-
■バス:神野橋付近→皆ノ瀬橋手前(釣り場入り口「荒瀬上」)

■昼食:おにぎりとコーヒー
■服装:化繊の短パン 、化繊のTシャツ2枚

■旅程。2022.07.20
  07:43頃 若松大橋上流の堰堤偵察
  08:08頃 皆ノ瀬橋偵察
 
  08:53頃 神野橋付近で町営バス乗車
  09:07  釣り場入り口「荒瀬上」付近で下車
   09:34 ( 0:00 -  0.0Km) スタート
   --:-- ( -:-- -  1.8Km) 海部橋
   --:-- ( -:-- -  3.0Km) 桑原大橋
   --:-- ( -:-- -  4.0Km) 玉笠橋
   昼食 ( 40分 11:33 - 12:13 )
   12:23 ( 2:49 - 6.6Km) 神野橋手前の堰堤
  12:58  神野橋発

※距離はキョリ測にて測定しました。時間は写真のタイムスタンプなどから適当に調整。


(2022.07.27 up)
修正履歴:

・IPアドレスの一部を表示します。